騒音歌舞伎「ボクの四谷怪談」 Bunkamuraシアターコクーン

大好きな橋本治さんと蜷川幸雄さんがタッグを組んだ「ボクの四谷怪談」をシアターコクーンに観に行きました。お客様の9割が女性、それも年齢高めでした。

主なキャストは以下の通り
民谷伊右衛門   佐藤隆太さん
佐藤与茂七    小出啓介さん
直助権兵衛    勝地 涼さん
お袖       栗山千明さん
次郎吉      三浦涼介さん
お梅       谷村美月さん
お岩       尾上松也さん
お熊       麻実れいさん
伊藤喜兵衛    勝村政信さん

着物で登場するのは最初だけ(お岩さんだけはエンディング以外は着物です)。後は昭和のレトロな雰囲気です。突き抜ける猥雑さがある意味、どちらの時代にも通じているような気がします。

感想は…「やられたね」という感じです。いろいろな意味で裏切ってくれましたが、それはシェイクスピア同様、この四谷怪談という戯曲がどのように料理しようが観客に様々なことを伝えることのできる優れた戯曲だからだと思います。俗っぽく俗っぽくやってました。(放送禁止用語多用です。)

赤穂浪士の討ち入りのサイドストーリーとして、伊右衛門が「仇討ちなんてくだらない」とだらだら〜と流されていきますが、一番いやなヤツが本編の赤穂浪士だったりするシュールさはすてきです。小出さんが仇討ちのこと以外にはちゃらんぽらんな与茂七を憎らしく演じています。

最後の方で伊右衛門の佐藤さんが10分くらいの長ゼリフで聴かせます。舞台でひとり自問自答するのですが、よどみなく複雑な台詞をすごい集中力でしゃべっていてすごいなぁと思いました。

お岩の尾上松也さん。歌舞伎の世界の方ですが、さすがに所作が美しいです。そしてエンディングのタンクトップにジーンズで普通の青年になったときも目が離せませんでした。これからの活躍を期待しています。

全員が体を張ってパワフルに舞台を駆け回って、なんだか元気になれる舞台でした。

立川談慶独演会 国立演芸場

初めて国立演芸場で立川談慶師匠の落語を聴きました。

演目
真田小僧  立川笑二さん
船徳    立川談慶師匠
あくび指南 ミッキー亭カーチスさん
ねずみ穴  立川談慶師匠

笑二さんはお若いのに堂々としていて、将来骨太の落語家さんになりそうな予感です。

ミッキー・カーチスさんは、役者さんとしての入りから、いつの間にか噺家さんの話になっていく不思議な展開です。となりの外人さんがとても良い味出してました。

さて、主役の談慶師匠です。青年→成年に変化された最近の10年を改めて思い返しました。やんちゃな若々しさに侠気と狂気が混じった渋さが加わり、独特の雰囲気です。師匠の落語を聴いて、自分が内側からひっくり返されたような居心地の悪さと、でも今の自分でいいんだよと許されている安堵感を感じました。刺激的です。

自分がなにかをごまかして生きているときは、師匠の言葉がぐさぐさ突き刺さってくるばかりなのでしょう。そうならないような日々を生きようと思います。

MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2012 渋谷公会堂

久しぶりにMONKEY MAJIKが渋谷にやってきました。客席にはさまざまな年齢層のお客様が…。ご家族でいらっしゃった方々もけっこういらして、私が座った列には女子高生(制服姿)の2人、二十歳前後の女性2人、お母さんと小学生の息子2人…でした。(お母さんがノリノリで、息子たちはぼやいてましたが。)

いつもながらの暖かなMONKEY MAJIKの音楽を聴いていると、セロ弾きのゴーシュの音楽を聴きに行った動物たちのように、心が満たされて身体が心地よくなっていきます。

今度、すべて英語の歌詞のアルバムを作るそうで、投票を始めたようです。詳しくは投票用facebookページへ。私も投票しました。

海辺のカフカ 彩の国さいたま芸術劇場

さいたま芸術劇場で村上春樹原作・蜷川幸雄演出の「海辺のカフカ」を観てきました。原作は読んでいません。

開口一番ネタバレで申し訳ないのですが、「並行世界」や「時空」などという私が大好きな言葉で表現できる世界観を舞台上で構築しており、さすが蜷川さんだなと感心しました。

さて、いつものシェイクスピア・シリーズとは違い、物語は淡々と進みます。(ひっそりとか静かという言葉が似合います。)

カフカ役の柳楽優弥君は15歳の少年のちょっと語尾を上げる話し方が自然でした。ナカタさん役の木場勝己さんと大島さん役の長谷川博己さんが安定した演技で、カンパニーの背骨になっていました。

佐伯さん役の田中裕子さんは大竹しのぶさんとはまた違った「天才」です。透明感のある演技で儚くも強い女性を演じていました。

パズル・ピースがピッタリはまった感じで、熱狂とは違う静かな満足感で劇場を後にしました。

シンベリン さいたま芸術劇場

蜷川幸雄さんの演出によるシェイクスピア・シリーズ「シンベリン」(さいたま芸術劇場)を観ました。俳優陣の頑張りで見応えのある楽しい劇になりました。

シンベリンは決して喜劇ではありません。むしろ欺かれた恋人たちの過酷な人生と、ローマとブリテン(英国)の戦争がリンクして、ドロドロとした救いのない話が続きます。ちなみに一度「子供のためのシェイクスピア・シリーズ」で観ていたので、ストーリーは知っていました。

なんか、登場人物がちょっとずつバカで(大バカ者もいますが)、「なんでそう簡単に信じるかな~」というシェイクスピアお決まりの展開です。完全に収集がつかなくなったところで、大型クレーンに乗ったジュピターが登場して、何やら預言を与えて、最後の15分ですべて丸く収まる大団円に突入します。

この話を飽きさせずに、バカバカしい展開に笑いを紛れ込ませ、力技で最後まで押し切れたのは演出家と俳優陣の力量でしょう。というわけで、各俳優の感想は以下。(敬称略)

阿部寛(ポステュマス) イノジェンの夫。立派な紳士ですが、ヤーキモーにコロっと騙されてすぐに復讐を決意するような、ちょっとおっちょこちょいなポステュマスを大真面目に演じて、さすがのさじ加減だと思いました。大きすぎて、大竹しのぶさんがぶら下がるように抱きついていました。

大竹しのぶ(イノジェン) シンベリン王の娘。可憐なティーンエイジャーを当たり前のように演じました。途中で小姓姿となって少年のように振舞うのも可愛い。「お姫様の大冒険」と言ってもいいシンベリンですから、陰の主役ですね。

窪塚洋介(ヤーキモー) ポステュマスとイノジェンを手玉に取る悪役No.1ですが、非常に魅力的でした。悪役が輝くと劇は俄然面白くなります。

勝村政信(クロートン) 王妃の連れ子。バカ息子をこれでもかとおバカに、かつ身を削って演じていました。登場するだけで笑いが起こるのはさすがです。

瑳川哲朗(ベラリアス、モーガン) 出番は少ないながら、存在感は大きいです。元貴族だが、今は粗野な漁師ってあり得ないとは思うんだけど。

浦井健治(ギデリアス、ポリドー) 本来は王位継承権第1位の王子。でも今は勇敢で気品を漂わせたただの猟師。ミュージカル俳優の浦井君が伝家の宝刀である歌と踊りを封印して臨んでいます。立ち姿が役どおりでした。

吉田鋼太郎(シンベリン) 勇敢で愛情深いブリテン王。でも後妻の王妃にいいように操られたアホな夫です。その存在こそが喜劇であり、振る舞いが悲劇となりました。

鳳 蘭(王妃) 悪役No.2。イジワルババアなんだそうです。(本人談とか。)でもカッコいいイジワルババアでした。

大石継太(ピザーニオ) ポステュマスの召使い。見た目は道化っぽいのですが、かなり重要な役回り。それぞれが濃い他の役と役を繋ぐ、貴重な緩衝材として良い仕事をしてました。

川口 覚(アーヴィレイガス、カドウォル) 王子の弟の方。蜷川さんの秘蔵っ子。滑舌滑らか、感情豊か。実力十分。王子が二人並ぶと、風格のある兄と思慮深い弟という感じ。逆はそれぞれキャラが違うから無理かも。

千葉裕之(ヴァイオリン)・北村健太(ギター/琵琶) 楽師として普通に存在して、普通に音楽家でした。

さなぶり寄席

4月14日(土)14:00~16:00 浦和コミセン・第6集会室で「さなぶり寄席」が開催されました。

演目は、
鶴    桂 宮治さん
棒鱈   三遊亭鳳志師匠
片棒   桂 宮治さん
中入り
紺屋高尾 三遊亭鳳志師匠
でした。

今回は桂宮治さんが前座から二つ目に昇進したお祝いも兼ねていました。お客様は13名のこぢんまりとした会でした。

「鶴」という演目は、ま、しょうもない話なんですが、噺家さんからするととても難しいのだと鳳志師匠に後からうかがました。
「紺屋高尾」はほんとうに噺家さんによって違うんですね。噺家さんは脚本家・演出家も兼ねているとつくづく感じました。でも、私はどの「紺屋高尾」を聴いても泣けちゃうんですよ。

さだまさし The Birthday Party in Masashi Super Arena

さだまさしさんの還暦祝いのコンサート(のはず)に行ってきました。お客様の年齢層もだいたいそんなところな層でした。

さいたまスーパーアリーナで開催したコンサートはドレスコードがあり、「還暦のさださんの代わりに赤いものを身につけてくること!」という指令でした。さいたまでやる!ということは当然「浦和レッズ」のレプリカユニフォーム姿の人がたくさんいることだろう…と勝手に思っていたら、誰もいない…orz ひそかにタオルマフラーをバッグに忍ばせていた私は出す機会を失ったのでした。

とにかく、5時間半。なにを書いたらいいのかわからないほど、充実したコンサートでした。誕生日をお祝いする特別なコンサート。いちおうすごいゲストを列記でもしましょうか。

 

敬称略
(MC:立川談春)
以下、さだまさしさんとゲスト
「飛梅」    さだまさし
「関白宣言」  南こうせつ
「北の国から~遥かなる大地より~」谷村新司
「掌」     森山良子・森山直太朗
「ひまわり」  平原まこと・平原綾香
「奇跡~大きな愛のように~」スキマスイッチ・花井悠希
「道化師のソネット」鈴木雅之・押尾コータロー
「いのちの理由」岩崎宏美
「胡桃の日」  三代目 J Soul Brothers・宅間久善
「朝刊」    秦 基博
「つゆのあとさき」miwa
「秋桜」    ゆず
「無縁坂」   ゴスペラーズ
「約束」    小林幸子
「むかし子供達は」ももいろクローバーZ
「Close Your Eyes -瞳をとじて-」佐田玲子・チキンガーリックステーキ
「舞姫」    TSUKEMEN
「檸檬」    坂崎幸之助
「まほろば」  高見沢俊彦

「木根川橋」さだまさし・立川談春
「空になる」  木村誠
「虹~ヒーロー~」倉田信雄
「加速度」   渡辺俊幸
「精霊流し」  吉田政美
「祇園会」   吉田政美
「風に立つライオン」さだまさし

「案山子」   加山雄三
「SMILE AGAIN」ゲスト全員
「落日」    さだまさし
「春爛漫」   さだまさし

TSUKEMEN ~TOIROスタジオ~(さいたまスーパーアリーナ)

さいたま新都心にあるさいたまスーパーアリーナの4階にオープンした「TOIROスタジオ」のこけら落としは、TSUKEMENのコンサートでした。

今日はアリーナで東方神起のコンサートがあったので、さいたま新都心駅周辺は若いお嬢さんたちであふれかえっていました。この人波を抜けてスーパーアリーナの4階までたどり着けるのか、ちょっと心配になったくらいです。

コンサート会場は本当に「スタジオ」といった風情で、なんでも最初はピアノも置いていなかったとのこと。いつものTSUKEMENはマイクなしの生音で演奏するのですが、今回はMCだけでなく、演奏の音もマイクが拾っていました。

だんだんMCの語彙も増えた…といっても、まだまだ訥々とした感じでコンサートは進みました。

第1部

1. KIYARI
2. ひかり
3. ロミオとジュリエット
4. ゴッドファーザー・ワルツ~愛のテーマ
5. デビル・ダンス
6. パイレーツ・オブ・カリビアン

第2部

1. トキノカナタ
2. ひまわり
3. ニュー・シネマ・パラダイス
4. スペイン
5. COSMOS
6. 闘う者達(FF7より)
7. 風の記憶

アンコール

1. BASARA
2. 星唄
3. チャルダーシュ

みんなで拍手をするパートがある「スペイン」ですが、いつもは「え~と21回、拍手しなくちゃ」とかなり緊張して心の中でカウントしていました。けれど、今回は3人ともアドリブがかなり長めで自由な感じだったので、「もういいや、アドリブを楽しんじゃえ」とカウントをサボりました。どうやら、まわりの人たちもそうだったみたいで、でもなんだかどんどん楽しい雰囲気になっていきました。よかった、よかった。

今度は7月にコンサートがあるようですが、私はおまつりの準備があるので行けそうにありません。次はいつ行けるでしょうか。