CHESS in Concert@東京国際フォーラム

CHESS in Concert昨年の1月に青山劇場で行われた「CHESS in Concert」が帰ってきました。

キャストとストーリー構成が少し変わりましたが、むしろわかりやすくなっています。

音楽監督は前回同様島健さん。キャストは下記の通りです。

安蘭けい/石井一孝/中川晃教/マテ・カマラス
AKANE LIV/戸井勝海
池谷京子/角川裕明/田村雄一/ひのあらた/横関咲栄/大野幸人

さてまずは前回とくらべてどうだったか。

歌詞がちゃんと聞き取れました。そのため、ストーリーも理解できました。特に石井さん演じるアナトリーがなぜ亡命したのに再びソ連に戻らなければならなかったか…という最も微妙で大事な部分がやっと理解できました。よかったよかった。

それにつけてもやはりCHESSの楽曲はすばらしいです。それをちゃんと歌いこなすキャストのみなさんもすごいです。何度も鳥肌が立ちました。

安蘭けいさんは前回同様、揺るぎのないフローレンスでした。良くも悪くも突飛な声ではないので、CHESSのようにすべてのシンガーが別々の旋律を歌って複雑なアンサンブルを奏でる楽曲ではとても良かったです。

石井さんは前回よりもより優柔不断のようで決して妥協しないアナトリーでした。最後はフローレンスのためにソ連へ戻って行くのだと分かり、前回までは「身勝手なヤツ」と思っていたので「ごめんなさい」です。

中川さんは相変わらずの歌唱力。前回はかなりイっちゃってるフレディでしたが、今回はエキセントリックだけれどクレバーでもある悲しみが溢れていました。いわゆる母性本能をくすぐられるタイプのフレディです。カーテンコールで話し始めたらグダグダになってしまってまわりから「まったくもう…」という視線を浴びていました。

初登場のマテ・カマラスさん。前回浦井健治さんが演じたアービターを演じました。もともと私が英国で観たときのアービターがデヴィッド・ボウイのようなたたずまいだったので、それよりちょっと貫禄がついて「他のことは知らないよ。自分がルールだよ」と歌うマテさんはイメージ的にはピッタリでした。まだ日常会話の日本語が聞き取れないらしく、カーテンコールでとなりに立っていたAKANE LIVさんが通訳して、ちょっと遅れて笑ったりしていて、お茶目な姿が垣間見られました。

そのAKANE LIVさんはスヴェトラーナを前回に引き続き演じています。美しく慈愛に溢れたアナトリーの奥さんで、フローレンスの安蘭さんと歌う「I know him so well」はすばらしかったです。

戸井勝海さんはアメリカの放送関係者(でも政府の回し者)の役で、今回このキャラクターが狂言回しのように状況を説明したため、よりストーリーがわかりやすくなったと思います。

前回意味不明だったダンサーの大野さんですが、今回はアクロバティックな踊りで、チェスの駒のように振り回される人々を翻弄するかのようでした。

アンサンブルのみなさんがいなければこの作品はできなかっただろうな…というくらい凄腕のアンサンブルさんたちでした。そして、オーケストラも前回より大きな編成になったような気がします。厚みがあって良い音楽でした。

また次にやって欲しいな…と思っています。