独語だけできる世代

朝の連続テレビ小説が好調のようです。(私はあまり観ていないのですが。)

「梅ちゃん先生」をたまに観て気がついたのですが、外国語はドイツ語だけできる世代があるんですね。戦争中、英語は敵性語なので学校教育に取り入れられずに戦後を迎え、戦後にドイツ語を学んだ世代。

私の母も戦後に女子医専に入って、初めて接した外国語がドイツ語らしいです。今でもテレビで洋画を字幕版で観ていて、英語はわからないけどドイツ語の洋画はなんとなくわかるよと言っていました。(戦後の女子医専では誰もが苦学したようですが、その話は置いておきます。)

こんなことを突然思い出したのは、先日フィリップ・K・ディックの「未来医師」というSFを読んだからです。21世紀の医者が25世紀の未来に拉致されて、手違いからその社会の真ん中に放り出されるところから物語がスタートするのですが、そのとき話されていた言葉がラテン語を基にした世界標準語で、主人公は難なくマスターしてしまいます。

英語を話す作者ですが、世界標準となる言葉は英語ではないと(1960年代に)思っていたようです。それから50年以上が経ち、インターネットで英語がグローバル・スタンダードになった現在に作者がいたとしたら、世界標準語はどのような設定になっていたでしょうか。それにしてもSF作家の想像力ってすごいですね。