優しいまち

さいたまARTS21という団体で、音楽を通じた癒しの空間をお届けしています。

先週末に私の住んでいる南浦和の公民館で初めて新春コンサートを開催しました。さまざまなところでコンサートをしていますが、その中でいちばん静かなコンサートでした。

私たちの団体は、公民館やコミセンはもとより、町内会や自治会の昼食会などのコンサートを行っています。当然、小さなお子さんが泣いたり走り回ったり、私語や携帯着信音があったり、そういったことも覚悟の上で、それでも良いというアーティストさんを呼んでコンサートを行っています。

でも、今回のコンサートはみなさん静かに演奏を聴いてくださいました。とても誇らしい気持ちでした。

そして改めて思ったのが、南浦和・大谷場の「優しい」という地域性です。子どもの小学校・中学校も比較的穏やかな校風でした。そしてそれはたぶん子どもたちをとりまく大人がみんな優しい人たちなんだろうと思っていました。転校生が多い地域ですが、子どもたちがなじむのも早かったように思います。

子どもが小学校の時、あるお母さんが「この小学校の先生方は良い先生でよかった。子どもたちは幸せだ。」と言っていました。でも私は逆じゃないかと思っていたのです。「この小学校の子どもたちはみんな優しい。先生方は幸せだ。」と。

でも、物事はいろいろな側面があります。優しさ=弱さになるときがあります。人に譲らず、自己を極限まで主張して、人生を勝ち続ける生き方が今の主流なのだとしたら、優しさは弱点です。でもね、それでもいいじゃないですか。いつまでも優しいまちにいずれは帰ってくればいいのです。たぶん、このまちはいつも優しく待っていてくれます。